ALOHA!
熱帯地方のハワイでは、南国にイメージされる食べ物がたくさんあります。
多くはパイナップルやマンゴー、バナナやパパイヤ、ドリアンなどのフルーツが多いのではないでしょうか?
南国のフルーツというとちょっと甘みが強いイメージ。
ツアーやレンタカーでホノルルの市街地を抜けると、ところどころに見えるもっこりとした大きな木とたくさんのまるっこい実。多くはマンゴーであったりアボカドであったりしますが、その中でもひと際目立つ大きなボールのような実が付いていることがあります。
その実が今回の主役「ブレッドフルーツ」です。
ブレッドフルーツとは
Bread Fruit
ブレッドフルーツとは日本では「パンノキ」、ハワイ語で「ウル (ʻUlu)」と言われています。
英語名 | ブレッドフルーツ (Bread Fruit) |
ハワイ語名 | ウル (ʻUlu) |
日本語名 | パンノキ、パンの実 |
ブレッドフルーツの特徴
見た目がとにかく大きい
ブレッドフルーツはとにかく大きな実が特徴です。
食べごろになる実の大きさは直径約20cm~50cm以上にもなります。バレーボールやバスケットボールみたいな感じを想像してみてください。
お店では量り売りのためか、さほど大きいものは見ませんが、木になっているものを見るとその大きさがわかります。
木の大きさも大きい
高さはおおよそ12m~20m。幹も直径で2mにもなり、葉の大きさも1枚当たり幅が15cm~20cmX長さが20cm~50cmと、1歳児くらいの子がすっぽり包まれるほど。
実が大きいだけあって、それを支える樹木の大きさもなかなかのものですよね。
たくさん実がなる
マンゴーもそうですが、1本の木から何十個も実がなります。ブレッドフルーツは1年に2回も3回も実ることもあり、その数は1年間に50個~100個以上とも言われています。
そうそう、ハワイと言えばタロイモも有名ですが、タロイモも無限に近いほどイモがなることで有名です。
このことから、古代ハワイアンにも身近に広く利用されていた可能性が高いことかがわかりますね。
ハワイ固有種なの?
ブレッドフルーツはハワイ固有種ではありません。
ポリネシアンやミクロネシアン (マイクロネシアン) がカヌーで持ち運んだものと言われています。
こういう経緯で持ち込まれたものを「カヌープラント」とも言います。
ただ、ハワイでは自生していることも多く、そこにはかつてのハワイアンが生活していたのではないかと推測できます。
ブレッドフルーツの味
フルーツというと甘いもしくは酸味があるイメージですが、ブレッドフルーツは無味に近いです。初めて私が食べた時は、南国の食べ物のイメージで食べたのでショックを受けました。
蒸かすとじゃがいもや甘くないさつまいものような感じになりますが、そこまで甘みは高く感じられません。色も白いし…お豆腐とも似ているとても淡白な食べ物です。
フルーツなのにパン。パンなのに芋。なんだそれ。
逆に言えば料理方法によっていくらでも味の楽しみ方がある食べ物とも言えますね。
はじめは少し受け入れがたかったのですが、次第にその味がクセになります。
美味しい!甘い!という感想という感じではないのですが、噛めば噛むほど甘みを感じます。日本人が思う豆腐のような口当たり。まさに日常に欠かせない一品。
買えるところ
ハワイのローカルスーパーやファーマーズマーケットで買うことができます。
フードランド
ダウントゥアース
KCCファーマーズマーケット
チャイナタウン
など
食べ方・料理方法
私がお世話になっているハワイのローカルの家族ではブレッドフルーツを育てています。
運が良ければお宅訪問の時にご馳走してくれたり、ハワイに住んでいるときはよくまるごといただいていました。
でもですね、コレっといった料理がいまいち確立していないらしく、私が料理してもなんとなく口にしているイメージが強いかも。
そういう感じなので、「これが正しい料理方法です。」という解説はできず申し訳ないのですが、経験上のおすすめ料理方法を記録として残してみたいと思います。
食べごろ
緑色が鮮やかな時よりも黄色っぽい状態の方が熟れていて美味しい気がします。ちょっと色があせた状態の方が好きです。
基本的な調理方法
イメージはじゃがいもやかぼちゃを調理する感じです。じゃがいもと違うのは毒の芽が無いことで、かぼちゃやさつまいもと違うのは皮を食べるのにはちょっと無理があること。
1. ざく切りする
まずブレッドフルーツは大きいので、料理しやすいように切らなくてはなりません。
スイカやパイナップルをさばくごとく、ざくっと真っ二つに、それをさらにざくっと切っていきます。
皮は食べられませんが、この段階では剥いても剥かなくてもOK。
2. 茹でる・蒸す・電子レンジ・オーブンで焼く
次に加熱です。
加熱方法はそれぞれありますが、基本的によく熱を加えれば食べやすくなります。
お箸を通して柔らかくなっていればOK。
3. 調味料
醤油、味噌、バター、マヨネーズなどが相性が良いかなと思います。
相性の良い調味料が和洋で分かれていますね。これはまるでアボカドのよう。
バターを合わせればパンのような感じで、味噌や醤油と合わせるとじゃがいもや豆腐のように食べることができます。
え?全然方向性が違うでしょ!と思った人も多いかと思います。
そう、私はこのブレッドフルーツをいただいた時に、はじめて食べるその食感と味、名前に対して合わせた調味料とで頭の中が混乱してしまいました。
おすすめレシピ
私が個人的に行っていたレシピは以下の2つです。
味噌汁
その名の通り味噌汁の具として料理します。水とだし、そこにブレッドフルーツとワカメなどを加えて煮ます。最後に味噌を入れて完成。
バター醤油
じゃがいも風に料理します。蒸すか電子レンジでお箸が通るくらいに加熱して、バター醤油でいただきます。
ローカルの家庭で教わったレシピ
ブレッドフルーツの凄いところは和にも洋にも合ってしまうところです。カレーやシチューはもちろん、スイートブレッドフルーツなんかも試してみても良いかも。
ここでは私が知り合いから教えてもらったり、よくごちそうになったメニューを紹介してみます。
洋風サラダ風
食べられるくらいに加熱したブレッドフルーツをアボカドと一緒にマヨネーズやドレッシングをかけていただきます。
冷ややっこ豆腐風
食べられるくらいに加熱したブレッドフルーツを冷蔵庫で冷やします。
食べる時にお醤油をたらして食べます。
トルティーヤ風
芋のような感じならと教えていただいたのが、トルティーヤ風。
いわゆる生地の材料として使用してしまうのですね。
他の味が濃いものと合わせるとちょうど良いアクセントや箸休めになります。
下の写真はポケ丼、ブレッドフルーツとアボカドのマヨネーズ和え、ティーリーフの葉にのせたパパイヤです。ハワイっぽいお料理が並んでいて感動!
他にもこんな料理をされている方がいらっしゃいます。
※勝手ながらリンクさせていただきました。
ハワイの虹の端っこで「パンの実(ブレッドフルーツ)」を料理してみた!〜ハワイの身近な食材④〜」
ブレッドフルーツの栄養価
こんなに巨大な食べ物ですが、どのような栄養素が入っているのか調べてみました。
参考:Nation And You.com
100gあたり
炭水化物 約27g
コレステロール 0g
食物繊維 約4.9g
葉酸 約14μg
ビタミンC 約29mg
ビタミンK 約0.5&mug
ナトリウム 約2mg
カリウム 約490mg
淡白ながらこの他にもさまざまな栄養素がつまっていました。
私の知人の話ですが、1個のブレッドフルーツで大人の1日の栄養をまかなえるほどと言われることもあるそうです。
ブレッドフルーツの歴史
さて、ここからはおカタイ歴史のお話。
こんなに大きな葉と枝に大きな実をつけるブレッドフルーツ (ウル) には、ハワイの人にとって隅に置けないポジションにあります。
私の経験や聞いた話、調べものからの紹介なので、すべてが正しい話とは限りません。
文字のなかったハワイアン文化の歴史や伝説は人伝てに変化することも考えられます。このお話を見て、また何か考えることや得られることがあれば、そしてそのきっかけになってもらえればうれしいです。
ハワイアンキルトのデザインモデル
ハワイアンキルトに描かれる葉っぱは、このブレッドフルーツの木の大きな葉がモチーフになることが多いです。
なんでだろう?
実がたくさんなるブレッドフルーツの木。初めてハワイアンキルトを作る際にデザインとして描くと、食料の豊かさと裕福な人生を送ることができると言い伝えられているのですね。
これからハワイアンキルトをやってみようかしら?という方はぜひこのデザインを候補にしてみてくださいね。
木材として利用
昔ハワイアンたちは、軽いブレッドフルーツの木を利用してサーフボードやカヌーを作ったそうです。
葉をサンドペーパーとして利用
ククイレイで知られるククイの実を磨くときや、お皿やうつわなどの食器を磨くときには、ブレッドフルーツの葉をやすりとして使っていたこともあるそうです。
伝説の神の生まれ変わり
ハワイで言い伝えられるハワイ四大神の一柱である神、クー (Kū) の体からウルが生えてきたとされて。クーが持つ魔法の力の影響もあり、ブレッドフルーツにも魔力が宿っていると考えられていたようです。
情報内容について
内容は2019年現在の情報です。
ハワイアンパルケは基本的に管理人が経験した話、ローカルの友人から聞いた話、個人的に調べたこと、カルチャーガイドから教えてもらった話をもとに、ハワイにまつわるお話を書き記しています。
歴史はちょっとした書き方や見方でとらえ方が変わり、伝説は言い伝えで不確かなものも多いものだと感じ、ブログとはいえこのような話を書き残すことにはかなり悩みました。
しかし、急速に変化していくハワイで失われつつある歴史や文化を、こうして書き記すことで、読んでいただいた人たちが少しでもハワイのことを考えるきっかけになってくれたらと思い、ハワイアンパルケを作ることにしました。
100%でなくてもいい、より多くの人たちの力で、ハワイの歴史文化を伝え、考え、その良さを共感できたら…
そして少しでもハワイの人たちが大切に守っていることを感じることができたら…
そのほんの片隅の読み物であれたら嬉しいです。